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■新城剛作品館 > 『ブルーの行方』 |
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| ブルーの行方 −新城剛・追悼− |
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きみは ふたたび出発するのに 扉をひとつ間違えてしまったのか それともかくれんぼゲームをするうちに 永遠に隠れてしまったのか いきなり ばたりと倒れて死んだふり それからやがて起きあがったきみは いたずらっぽい眼付きで言う (おかあさんをちょっとおどかそうと思ってねー) 絵と音楽をそれぞれ生きるきみたちが名付けたひとり娘 音絵ちゃんが見たという夢だ やたら暑かった 空も地も乾く炎の日々 ひとびとは水を求めていた そんな季節だった 信じられぬ知らせが届いたのは 受話器の奥の言葉は幻聴のように 遠く遠く聴こえてきた そして 忽然と きみは去ってしまった 別れとはこのようにもやってくるのだ おお きみが開いた扉の奥の世界は いまブルーの色彩にあふれているか きみが愛した新城・上地島 きみはコバルト・ブルーの海で何を見たのか 中絶されたキャンバスに流し込まれたブルー そこにはどんな世界が開かれようとしていたのか 1991年6月・那覇市民ギャラリー 久しぶりにきみの絵を見た 赤と黒の重たく脅迫的なそれまでの世界から きみは変わろうとしているようだった だがどのように? いまとなってはすべて謎のままだ 中絶されたキャンバスは2Fのアトリエで沈黙している ぼくたちの父祖はいつも 水平線の彼方に夢を見ていた 豊饒の夢を 季節ごとに海の彼方からやってくる来訪者を幻視し マレビトと呼んだ そしていつしか自ら演技者となった 剛よ きみが魅かれたマレビトのイメージ きみが描きつづけた赤と黒 それから転調しはじめたブルーの世界 それはいずれも古代びとがわずかに持ちえた色彩観念だった きみはときおり スペインの光と色を あるいは風土を 沖縄の風景のなかで眼差し遠く語った スペイン! このしなやかな語感をもつはるかなまぶしい異国 そして 豊饒の夢に誘いつづけるオキナワ! 鮮烈な原色の光と色にあふれたふたつの風土がきみをとらえたのか 「死はつらい しかし 悲しみはもっとつらい」 眩暈をおぼえる熱さに乾く1991年7月2日 きみはまるで急ぐかのように逝ってしまった <太く短く生きるのもひとつの人生さ> とうそぶいたきみは 悲しみのなかで遺されたものたちの流す涙を見たか それにしても 何をそんなに急いだのだ 気にいった作品ができあがると上機嫌で音絵ちゃんに見せたりしたという 剛よ きみは知っているだろうか その愛娘のもうひとつの夢を (お父さんが玄関を開けて タダイマッ て帰ってきたよ) 早いものだ剛よ もう一年だ それともたった一年だ と言うべきか 愛娘の夢は届いただろうか? 梅雨明けの島は蝉が鳴きはじめ また 暑い季節がやってきた 生きているぼくらとぼくらの世界は 良くも悪くも相変わらずだ とりあえずそう告げて ひとまずきみとお別れしよう さよならー 砂川 哲雄
*「 」内は久ロード・レヴィ=ストロースの言葉 |
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(八重山毎日新聞1992年7月2日掲載) |
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画家新城剛の一周忌の折に、新城のとても深い友人であり 詩人の砂川哲雄氏が寄せてくれた詩である。 新城がこの世を去って約10年の時が流れた2002年夏・・・ 詩人砂川哲雄氏の詩集が地元出版社の南山舎やいま文庫より 出版されたことをお喜び申し上げ、 砂川氏の温かいお言葉、お返事を頂戴し、 当ギャラリーにてご紹介させていただきます。 |
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発行日 / 2001年8月1日 |
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著 者 / 砂川哲雄 |
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発行者 / 上江洲儀正 |
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発行所 / 南山舎 |
| 定 価 / 1,500円(本体1,429円) |
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